2015年9月から10月までの約1か月間、ドイツからマイセンクリスタルのアーティスト、ロルフ・ハイヤー氏が来日し、全国の百貨店で素晴らしいグラヴィール技術を披露いたしました。

ハイヤー氏は、今回で来日12回目になる「日本通」です。2014年のインタビューに引き続き、今回も忙しい合間にインタビューに快く応じてくださり、作品開発についての深いお話しをお伺いすることができました。 ハイヤー氏のインタビューをご覧ください。


▲作業をする ロルフ・ハイヤー氏
ロルフ・ハイヤー氏 プロフィール
Mr.Rolf Heyer

ドイツのエルツ山地、アンナベルク/ブッフホルツ生まれ。 優秀な成績で学校を卒業した後、1982年から1985年までの3年間でガラスグラヴィーラーの職業訓練を終了。 それ以来、マイセンクリスタル社でこの仕事を続けています。 作り出すという作業に才能も興味もあった彼は、熟練のグラヴィールマイスター ウォルフガング・ウルマンの下で教育をさらに受け、ウルマンの定年退職後はこの部門の責任者となりました。 彼は、自然観察や歴史から、作品への着想を得ています。

ロルフ・ハイヤー氏インタビュー
マイセンクリスタルでは、一職人としてグラヴィールを担当する一方で、新柄開発も行っているハイヤー氏。以前、新柄の開発には、自身のグラヴィール技術は元より、スケッチのスキル、そして実力や経験の異なる他のグラヴィーラーたちも皆、同じように仕上げられるデザイン能力が必要となる、と語っていらっしゃいました。(2011年インタビュー参照
今回、一般作品とユニカート作品(一点もの)の新規開発について、お話をおうかがいしました。

- 一般作品は、どのように開発されますか?

ロルフ・ハイヤー氏(以下R・H): 一番重要なのは、マイセンクリスタルのグラヴィーラー全員が仕上げられるモチーフであることです。一般作品は、マイセンクリスタルの顔であるので、実力や経験が異なる人でも、同じように仕上げられなくてはなりません。重量のある大きな作品は、体力的な問題で、女性のグラヴィーラーでは制作できない場合もありますが・・・。 一般作品は、新作として発表し、ある程度の期間、販売する必要があるため、継続しての制作が可能なフォームや色を見て、モチーフを決めることが多いのですが、モチーフのアイディアが先に浮かび、フォームを決めることもあります。 作品のモチーフが一番きれいに見えるバランスは、グラヴィールとカットを含んだ装飾部分と、全く手を入れない部分が、2対1、もしくは、その逆の1対2です。基本的には、このバランスを重視して、開発を行いますが、一般作品は価格も重要な要素であるため、当初の目標価格に合わせてモチーフを減らすこともあります。 また、売れ行きが良ければ、シリーズ化して、アイテムや色のバリエーションを増やす可能性もあるので、それを踏まえた開発が必要になってきます。

- それに対し、ユニカート作品は、どのように開発されますか?

R・H: 一般作品と異なり、ユニカート作品の制作は、個々のアーティストに委ねられています。自分が好きなものや、過去によく売れた作品の中からアイディアが出ることもありますし、休暇や出張で訪れた旅先での経験が生きる場合もあります。 アイディアが生まれると、次は、フォームや色を選びます。自分のアイディアをよりよく表すために、最適なフォームを選びますが、私は、今までに作品化したことがないフォームや色を好んで選びます。 カット、グラヴィールの順で制作を行うため、モチーフが映えるカットをカット職人と相談し、決定していきます。2014年発表の世界限定作品では、フクロウの棲家である樹々の皮目を表現するカットを裏面に施し、好評を得ました。 また、2015年の世界限定作品「四神」を制作するにあたり、日本やアジアのことを学んでいるうちに、雲間から現われた龍を察知し、危機を感じた虎を表現した、ユニカート「龍虎」のアイディアが生まれました。

インタビュー中に登場した 世界限定作品、ユニカート


2014年世界限定作品 「メンフクロウ」正面と裏面

ユニカート「龍虎」 両面


- 職人としてだけでなく、アーティストとして活躍するハイヤー氏から、制作現場の生の声をうかがえる大変良い機会を得られました。


Copyright © Meissener Bleikristall GK Japan Agency Co.,ltd. All Rights Reserved.