2014年5月から6月までの約1か月間、ドイツからマイセンクリスタルのアーティスト、ロルフ・ハイヤー氏が来日し、全国の百貨店で素晴らしいグラヴィール技術を披露いたしました。(※マイセンクリスタルフェアと実演のスケジュールはこちらでご案内しております。)
ハイヤー氏は、今回で来日11回目になる「日本通」であり、2011年の実演の際にもインタビューにお答えいただきましたが、今回も全国を回る忙しい合間にインタビューに快く応じてくださり、2014年の世界限定作品や今秋発売予定の新作のことなど、さまざまなお話しをお伺いすることができました。
ハイヤー氏のインタビューをご覧ください。


▲作業をする ロルフ・ハイヤー氏
ロルフ・ハイヤー氏 プロフィール
Mr.Rolf Heyer

ドイツのエルツ山地、アンナベルク/ブッフホルツ生まれ。 優秀な成績で学校を卒業した後、1982年から1985年までの3年間でガラスグラヴィーラーの職業訓練を終了。 それ以来、マイセンクリスタル社でこの仕事を続けています。 作り出すという作業に才能も興味もあった彼は、熟練のグラヴィールマイスター ウォルフガング・ウルマンの下で教育をさらに受け、ウルマンの定年退職後はこの部門の責任者となりました。 彼は、自然観察や歴史から、作品への着想を得ています。

世界限定作品 三層被せ花瓶「メンフクロウ」をはじめとした、今春発表のハイヤー氏の作品について
三層被せ花瓶「メンフクロウ」(ロルフ・ハイヤー)
三層色被せ花瓶「メンフクロウ」
マイセンクリスタル社が誇るアーティスト4人が、「フクロウ」をテーマにした世界限定作品を2014年の春に発表しました。
ハイヤー氏が手掛けたのは、三層色被せ花瓶「メンフクロウ」。どのアーティストのフクロウも繊細な毛並みの表現が見事ですが、ハイヤー氏の「メンフクロウ」は他のアーティストに比べ、特に柔らかな白色の毛が目立つ作品です。
- 1点の花瓶を彫るのに、だいたいどれくらいの時間がかかったのでしょう?

ロルフ・ハイヤー氏(以下R・H) : カット部分はカット職人が行う別工程のため、この花瓶を制作するのにかかるトータルで何時間かかるかは分かりませんが、グラヴィール部分だけだとほぼ丸2日かかります。

- 柔らかな雰囲気のものを表現するのは難しいのでしょか?

R・H : 色ガラスの特徴として、ライトブルー、ライトグリーン等の薄い色は光をよく通すため、柔らかな表現がしやすいのですが、ブラック、コバルトブルー、グリーン、リラ等の濃い色は光を通さない、もしくは通しにくいため、はっきりとした線の表現ができる反面、柔らかな表現が難しいのです。
この花瓶は、ブラック/ライトブルー/クリアの三層色被せから成りますが、一番外側が、光を通さないブラックのガラスの層であるため、柔らかい雰囲気を出すのは本来はとても難しいのですが、光の反射をうまく利用することで柔らかい雰囲気を出すことができました。それに苦労をしました。

三層被せ花瓶「メンフクロウ」の柄の部分を拡大しました。画像をクリックして、ぜひ、拡大画像でご覧ください。


顔の部分拡大

胸の部分拡大

頭の部分拡大

ハイヤーの氏イニシャルとMの刻印

顔、胸、頭の部分ではそれぞれ、彫られる線の量や太さ、深さなどが異なり、各部分の毛質の違いが巧みに表現されています。
硬質なクリスタルでありながらも、フクロウの毛並みの柔らかさや、体温までも感じられる仕上がりとなりました。
ハイヤー氏のイニシャルとマイセンクリスタルの「M」が刻印された部分では、三層被せの特徴である「ブラック/ライトブルー/クリア」の3色を全てご覧いただけます。
そして今回、「メンフクロウ」と同じような、柔らかな表現が特徴の作品、色被せ花瓶「タンポポの綿毛」と、オーナメント「タンポポの綿毛」が発売になりました。

ハイヤー氏がデザインした作品では、同じ柔らかな表現をしたもので「タンポポの綿毛」をグラヴィールした、色被せ花瓶「タンポポの綿毛」と、オーナメント「タンポポの綿毛」が、今回発売になりました。

色被せ花瓶「タンポポの綿毛」
色被せ花瓶「タンポポの綿毛」
オーナメント「タンポポの綿毛」
オーナメント「タンポポの綿毛」
-なぜタンポポの花では無く、あえて綿毛を題材にされたのでしょう?

R・H : 実は、過去に実演で日本を訪れた際、あるお客様から「タンポポの綿毛」の柄の花瓶はないかと聞かれたのが、この作品を作るきっかけでした。
タンポポの綿毛を飛ばして恋占いをすることから、恋愛に関する花言葉のあるタンポポですが、種子が風に吹かれて飛び、あちこちで新しい命を誕生させる姿から「生命力」や「新たなスタート」を感じます。

マイセンクリスタルでは他のアーティスト達も「タンポポの綿毛」のように、植物をテーマにした作品をデザインされ、日本にもなじみがあるものでは「桜」「もみじ」などがあります。


色被せ花瓶「桜」
品番:KIR/2150/36R
色:レッド サイズ:高さ 約36cm 
日本の象徴「桜」を刻んだ作品。可憐な美しさにあふれています。


色被せ花瓶「カエデ」
(ヨルク・ヴェスツカルニス作ユニカート)
品番:AHO/26
色:レッド サイズ:高さ 約26cm 
真っ赤に染まった紅葉のようなクリスタルに、楓の葉を大胆に刻んだ花瓶。

日本では、春には桜、秋にはもみじといったように、季節ごとに花をめでる風習がありますが、

- ドイツでも、季節の代表的な花などはありますか?それを見てパーティーをされますか?
R・H : 日本のように四季がはっきりしていないので、季節の代表的な花はありませんが、果物のなる樹に花が咲くと、春が来たなぁと感じます。
また、花や植物を愛でるために何かをすることはありませんが、4月頃から9月頃には、屋外でバーベキューをして自然を満喫します。
今秋発表される、新作について

秋以降の新作についてですが、秋に富士山の図柄の新作が発表されます。

ペアオールドファッション「富士山」 色:レッド/ライトブルー
ペアオールドファッション「富士山」 色:レッド/ライトブルー
日本人にとって「富士山」は信仰の対象になるくらいに特別な場所ですが、ドイツにも、そのような所はありますか?

R・H : ヨーロッパには宗教的に特別な場所はありますが、日本人にとっての「富士山」のような場所はないのではないでしょうか。
ただ、精神の安定を図り、エネルギーを感じる場所という意味での神聖な場所と言えば、「森」でしょうか。ヨーロッパ人は森、特に古い木々がある森へ行くのが大好きです。

いつも日本の印象ばかりをお伺いしていますので、

- 今回はぜひ、ドイツのおすすめスポットや、観光で訪れた際に見てほしい場所がありましたら教えてください。

R・H : ドレスデンからエルベ川をさかのぼった、チェコとの国境に広がる「ザクセンのスイス(Saechsische Schweiz)」がおすすめです。 切り立った岩や絶壁を歩いたり、観光船から眺めたり、素晴らしい景色が臨めます。また、港湾都市である、ハンブルク(Hamburg)もおすすめです。

ザクセンのスイス(Saechsische Schweiz)は、景勝地として知られ、ハイキングスポットとしても人気のある場所です。ハンブルク(Hamburg)はベルリンに次ぐドイツ第2の都市。詳細は「ドイツ観光局ウェブサイト」でぜひ、ご覧ください。

【ドイツ観光局ウェブサイト】

- お仕事では無く、プライベートで日本に来るとしたら、どこに行きたいですか?

R・H : 仕事でも訪れたことがない、北陸、東北、南九州に行ってみたいです。

ハイヤー氏にはぜひ、北陸、東北、南九州などにも行って、日本の新しい景色を発見してほしいですね。


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