ロルフ・ハイヤー氏(以下R・H) : カット部分はカット職人が行う別工程のため、この花瓶を制作するのにかかるトータルで何時間かかるかは分かりませんが、グラヴィール部分だけだとほぼ丸2日かかります。
R・H : 色ガラスの特徴として、ライトブルー、ライトグリーン等の薄い色は光をよく通すため、柔らかな表現がしやすいのですが、ブラック、コバルトブルー、グリーン、リラ等の濃い色は光を通さない、もしくは通しにくいため、はっきりとした線の表現ができる反面、柔らかな表現が難しいのです。
この花瓶は、ブラック/ライトブルー/クリアの三層色被せから成りますが、一番外側が、光を通さないブラックのガラスの層であるため、柔らかい雰囲気を出すのは本来はとても難しいのですが、光の反射をうまく利用することで柔らかい雰囲気を出すことができました。それに苦労をしました。
顔、胸、頭の部分ではそれぞれ、彫られる線の量や太さ、深さなどが異なり、各部分の毛質の違いが巧みに表現されています。
硬質なクリスタルでありながらも、フクロウの毛並みの柔らかさや、体温までも感じられる仕上がりとなりました。
ハイヤー氏のイニシャルとマイセンクリスタルの「M」が刻印された部分では、三層被せの特徴である「ブラック/ライトブルー/クリア」の3色を全てご覧いただけます。
そして今回、「メンフクロウ」と同じような、柔らかな表現が特徴の作品、色被せ花瓶「タンポポの綿毛」と、オーナメント「タンポポの綿毛」が発売になりました。
ハイヤー氏がデザインした作品では、同じ柔らかな表現をしたもので「タンポポの綿毛」をグラヴィールした、色被せ花瓶「タンポポの綿毛」と、オーナメント「タンポポの綿毛」が、今回発売になりました。
R・H : 実は、過去に実演で日本を訪れた際、あるお客様から「タンポポの綿毛」の柄の花瓶はないかと聞かれたのが、この作品を作るきっかけでした。
タンポポの綿毛を飛ばして恋占いをすることから、恋愛に関する花言葉のあるタンポポですが、種子が風に吹かれて飛び、あちこちで新しい命を誕生させる姿から「生命力」や「新たなスタート」を感じます。
マイセンクリスタルでは他のアーティスト達も「タンポポの綿毛」のように、植物をテーマにした作品をデザインされ、日本にもなじみがあるものでは「桜」「もみじ」などがあります。
日本では、春には桜、秋にはもみじといったように、季節ごとに花をめでる風習がありますが、
秋以降の新作についてですが、秋に富士山の図柄の新作が発表されます。
R・H : ヨーロッパには宗教的に特別な場所はありますが、日本人にとっての「富士山」のような場所はないのではないでしょうか。
ただ、精神の安定を図り、エネルギーを感じる場所という意味での神聖な場所と言えば、「森」でしょうか。ヨーロッパ人は森、特に古い木々がある森へ行くのが大好きです。
いつも日本の印象ばかりをお伺いしていますので、
R・H : ドレスデンからエルベ川をさかのぼった、チェコとの国境に広がる「ザクセンのスイス(Saechsische Schweiz)」がおすすめです。 切り立った岩や絶壁を歩いたり、観光船から眺めたり、素晴らしい景色が臨めます。また、港湾都市である、ハンブルク(Hamburg)もおすすめです。
ザクセンのスイス(Saechsische Schweiz)は、景勝地として知られ、ハイキングスポットとしても人気のある場所です。ハンブルク(Hamburg)はベルリンに次ぐドイツ第2の都市。詳細は「ドイツ観光局ウェブサイト」でぜひ、ご覧ください。
【ドイツ観光局ウェブサイト】
R・H : 仕事でも訪れたことがない、北陸、東北、南九州に行ってみたいです。
ハイヤー氏にはぜひ、北陸、東北、南九州などにも行って、日本の新しい景色を発見してほしいですね。