2011年5月7日にドイツよりマイセンクリスタルのグラヴィーラー(ガラスの表面彫刻職人)ロルフ・ハイヤー氏が来日し、約1ヶ月にわたり全国の百貨店にて素晴らしいグラヴィール技術を披露いたしました。
マイセンクリスタル及びグラヴィール技術についてのハイヤー氏のインタビューをご覧ください。
▲作業をする ロルフ・ハイヤー氏
ロルフ・ハイヤー氏 プロフィール
Mr.Rolf Heyer
ドイツのエルツ山地、アンナベルク/ブッフホルツ生まれ。
優秀な成績で学校を卒業した後、1982年から1985年までの3年間でガラスグラヴィーラーの職業訓練を終了。
それ以来、マイセンクリスタル社でこの仕事を続けています。
作り出すという作業に才能も興味もあった彼は、熟練のグラヴィールマイスター ウォルフガング・ウルマンの下で教育をさらに受け、ウルマンの定年退職後はこの部門の責任者となりました。
彼は、自然観察や歴史から、作品への着想を得ています。
- マイセンクリスタルでは、どのような分野を担当されていますか?
ロルフ・ハイヤー氏(以下R・H):マイセンクリスタルで行っている分野(新柄開発、カット、グラヴィール)のうち、新柄開発とグラヴィールを担当しています。
新柄の開発には自身のグラヴィール技術は元より、スケッチのスキル、そして実力や経験の異なる他のグラヴィーラーが皆同じように仕上げられるようにするデザイン能力が必要となります。
現在、私が長を務めるグラヴィール部門の職人は10名で、そのうち私を含めた4名が新柄開発を行っています。
- 職人になるには何年修業が必要ですか?
R・H:3年程度、職業訓練学校に通いながら実地研修をする必要があります。その後、何年も下積みを行い、ようやく一人前の職人となります。
私が修業を行った当時(1982-85年)は、1年間、マイセン磁器製作所内の絵付養成学校でスケッチを学んだ後、2年程実地で研鑽を積みました。しかし現在は、カット職人、グラヴィーラーともにガラス専門の職業訓練学校に通うことになっています。
- マイセンクリスタルのグラヴィールの特徴はどういったものですか?
R・H:ヨーロッパ各国(特にドイツ、チェコ、ハンガリー)で、グラヴィールを施した作品は製作されていますが、マイセンクリスタルは他ではできないような、サイズの大きな色被せの作品を制作しています。こちらを製作するには、重量のあるガラス生地を両手で持ち、回転するグラヴィールホイールに押し付けるための体力と忍耐力が必要な上、モチーフを生き生きと見せるようにグラヴィールする熟練の技、十分な経験が必要となります。
また、マイセン磁器で使用されているモチーフをグラヴィールすることが許されている唯一のブランドとして、日々、磁器の上に描かれることを想定したモチーフの開発を行っています。
- ハイヤー氏は現在、マイセンクリスタル社で扱っている全ての柄のグラヴィールを行うことが可能ということですが、その中で特に好きな柄はありますか?
R・H:私自身、自然に親しむことを好みますので、やはり、花、鳥など自然界に在るもののモチーフが気に入っています。
▲美しく施された花模様のグラヴィール
▲グラヴィール作業を行うための道具
- 日本の好きなところや好きなもの、強い印象を受けた事はありますか?
R・H:今回で9回目の来日となりますが、一番最初の訪問時に驚いたことは、駅や街中での人の多さでした。その後も訪れる度に、今後の製作活動の原動力にすべく観光地やいろいろな街を見て歩くようにしていますが、ヨーロッパとは異なる文化を常に興味深く感じます。
- 日本のお客さま、ファンの皆さまへのメッセージ
R・H:マイセンクリスタル社は、マイセン磁器製作所と同じドイツ ザクセン州 マイセン市にあります。日本におけるマイセン磁器の人気はよく知っていましたが、私自身、来日を重ね、その度に多くの出会いに恵まれ、様々なお話をさせていただく中で、マイセンクリスタルにも強い関心を寄せてくださる方が多数いらっしゃることを知り、大変嬉しく、感謝しています。
今後もマイセンクリスタルファンの方々に満足していただけるような新しいものを作り続けていきたいと思います。