2015年5月から6月までの約1か月間、ドイツからマイセンクリスタルのアーティスト、ヨルク・ヴェスツカルニス氏が来日し、全国の百貨店で素晴らしいグラヴィール技術を披露いたしました。ヴェスツカルニス氏は、これまで何度も来日する親日家であり、今回も2013年に引き続いて、実演の際にインタビューにお答えいただきました。話題の新作「四神(しじん)」や、2015年の新色(アンバー/コバルトブルー)についてなど、いろいろ興味深いお話をしてくださったヴェスツカルニス氏。マイセンクリスタルへの熱い思いにあふれたインタビューをご覧ください。
ヨルク・ヴェスツカルニス氏インタビュー
2015年マイセンクリスタル社が誇るアーティスト4人が、中国の神話に登場する霊獣「四神(しじん)」をテーマにした世界限定作品を発表しました。 古来より天の四方の方角を司り、四季や四色を象徴する存在として崇められてきた四神。マイセンクリスタルのアーティストたちは、この神秘的な東洋の生き物を、それぞれのイマジネーションを交えて表現することに挑戦しました。 ヴェスツカルニス氏が手掛けたのは、東の方角を司り、季節は春を、色彩は緑を象徴する「青龍(せいりゅう)」。
-今回は、「四神」という、ヨーロッパの皆さんには難しいテーマだったと思いますが、実際にグラヴィールをしてみていかがでしたか?
J・W.:作品を作るときは、花瓶のフォームや色を見てモチーフのアイディアが浮かぶ場合と、モチーフのアイディアが浮かんでから花瓶のフォームや色を決める場合があります。今回のテーマ「四神」は、デザインも色もあらかじめ決まっていたため(青龍は、翼を持つ龍の形で、緑を象徴する)、今までの作り方と異なり、大変興味深いものでした。私は背景があるモチーフにチャレンジするのが好きなので、オリジナルのコピーではなく、私たちヨーロッパ人からみた、「四神」になるように意識し、お客様が喜んで下さることを考えて、デザインし、グラヴィールを施していきました。また、内側をアンバー、外側をコバルトブルーで仕上げた二層被せのコレクションも、2015年の新作です。通常のクリアとカラーの色被せクリスタルと違い、グラヴィール後に現れるアンバー色が、アンテーク調の年月を重ねたような趣が生んでいます。
インタビュー中に登場した 世界限定作品
色被せ花瓶「青龍」 【東、春、緑】
(ヨルク・ヴェスツカルニス)
色被せ花瓶「朱雀」 【南、夏、赤】
(ルッツ・ハウフェ)
色被せ花瓶「白虎」 【西、秋、白】
(ロルフ・ハイヤー)
色被せ花瓶「玄武」 【北、冬、黒】
(ロルフ・ホフマン)
通常の色被せと違い、苦労をした点はありますか?
J・W.:色被せの花瓶は手作りのため、同じ花瓶でもガラスの層の厚さが一点一点違うため、厚さを確かめながらカットやグラヴィールを行っています。通常、カラーのガラスの層の下には光を透すクリアの層があるため、ある程度カットやグラヴィールを施すと全貌が見えてきますが、今回の二層被せのクリスタルは光を透しにくいアンバー色のため、全体のイメージをつかみにくく、ミリ単位の作業となりました。
-前回のインタビューで、日本に住むなら、海が近い街でゆっくりしてみたいとおっしゃっていましたが、その後、変化はありましたか?
J・W.:最近は山の中の伝統的な暮らしも体験してみたいと思っています。また、一度、富士山にも登ってみたいと思っています。山に登れば人間の小ささが分かるでしょうから。
お仕事でもプライベートでも、新しく挑戦してみたい事はありますか?
J・W.:昨年、日本に滞在中、「帆船」や「馬」のデザインが頭に浮かび、今年発表することができました。
今回も、新作やユニカートのアイディアがどんどん浮かんできたので、早く新しいものを作りたくてうずうずしています。
また、プライベートでは最近はなかなか趣味のバイクに乗ることができないので、
帰国したら、アウトバーンを走りたいと思います。
インタビュー中に登場した 二層被せコレクション
-日本の皆様に何かメッセージをお願いします。
J・W.:日本のことが大好きなので、こうして日本に来て、日本の皆様と触れ合えることを大変嬉しく思います。皆様にもできるだけマイセンクリスタルのことを好きになっていただき、身近においていただければと思います。