2013年5月から6月までの約1か月間、ドイツからマイセンクリスタルのアーティスト、ヨルク・ヴェスツカルニス氏が来日し、全国の百貨店で素晴らしいグラヴィール技術を披露いたしました。ヴェスツカルニス氏は、これまで何度も来日する親日家であり、昨年の実演の際にインタビューにお答えいただきました。今回のインタビューにも快く応じてくださり、仕事のこと趣味のことなど、いろいろなお話しをお伺いすることができました。
ヴェスツカルニス氏のインタビューをご覧ください。

ヨルク・ヴェスツカルニス氏
▲作業をするヨルク・ヴェスツカルニス氏
ヨルク・ヴェスツカルニス氏
Mr.Jörg Weszkalnys   プロフィール

1974年10月17日、シュプレンベルク生まれ。 東ドイツのクリスタル工業の中心地だった、ヴァイスヴァッサー近郊で育つ。ガラスの研磨職人であった祖父の影響を受け、ガラスの分野で働くことを幼い頃より志し、1991年から1994年まで、ツヴィーゼル(バイエルンの森)でガラス加工の職業訓練を受ける。1996年、マイセンクリスタル社で働き始める。ウォルフガング・ウルマンや、ロルフ・ハイヤーといったマイスターの下で、制作技術を習得する中、創造性の豊かさで注目を集め、現在は開発チームに所属。特に、動物、人物のグラヴィールを得意とするグラヴィーラーである。

2013年の新作花瓶や定番のランプでは、「龍(ドラゴン)」をモチーフにした作品をデザインされています。 描いているのは西洋風な「ドラゴン」ではなく、東洋的なヒゲや鱗のある「龍」のようなデザインでした。
-東洋的なドラゴンをデザインされた際に、苦労をした点はありますか?
ヨルク・ヴェスツカルニス氏(以下J・W.):東洋のドラゴンと西洋のドラゴンでは、見た目も、意味合いも大きく違います。 東洋的なものをデザインする場合には、東洋についての勉強が欠かせません。 ただ、東洋のコピーではなく、私たちヨーロッパ人からみた、東洋的なデザインになるよう意識しています。 また、ドラゴンに限ったことではありませんが、人間や動物などの、目をグラヴィールする際には、命が吹き込まれる瞬間なので、緊張します。

-趣味は何ですか?
J・W.:絵を描くのが好きで、日本滞在中、ホテルでもよく描いていました。また、私の住むザクセン州エルツ地方は、鉱山や木工細工で有名ですが、鉱山で栄える以前は、ガラスの一大産地でした。今はその面影もなくなってしまいましたが、そうしたザクセンのガラスの歴史も研究しています。

前回のインタビューでは「トラ」が好きとお答えになり、今回の世界限定作品も「トラ」を手がけられました。 -アーティスト4名で好きな動物を選んだのでしょうか?
J・W.:「動物」というテーマのもと、アーティスト4名で話をし、それぞれが自分の好きな動物を選びました。 私がトラを選んだ理由はもうお分かりでしょうが…。

-他の動物「ゾウ」「オオカミ」「ライオン」も彫ってみたいと思われますか?
J・W.:私は動きのある動物が好きなので、他の動物だと、「オオカミ」「ライオン」でしょうか。


色被せ花瓶「トラ」
(ヨルク・ヴェスツカルニス)

色被せ花瓶「オオカミ」
(ロルフ・ハイヤー)

色被せ花瓶「ライオン」
(ロルフ・ホフマン)

色被せ花瓶「ゾウ」
(ルッツ・ハウフェ)
お仕事でもプライベートでも、新しく挑戦してみたい事はありますか?
J・W.:昨年、日本に滞在中、「帆船」や「馬」のデザインが頭に浮かび、今年発表することができました。 今回も、新作やユニカートのアイディアがどんどん浮かんできたので、早く新しいものを作りたくてうずうずしています。
また、プライベートでは最近はなかなか趣味のバイクに乗ることができないので、 帰国したら、アウトバーンを走りたいと思います。

インタビュー中に登場した作品

色被せ花瓶「ドラゴン」

色被せ花瓶「ドラゴン」

色被せランプ「ドラゴン」

オールドファッション「帆船」

ユニカート 色被せ花瓶「帆船」
(ヨルク・ヴェスツカルニス)

ユニカート 色被せ花瓶「馬」
(ヨルク・ヴェスツカルニス)

-日本のお客さま、ファンの皆さまへのメッセージをお願いします。
J・W.:日本にも伝統工芸品があるので、日本の皆さんは、手仕事の良さを理解してくださっていて、大変感謝しています。また、皆さんとのお話から新しいアイディアや刺激を受けることもしばしばです。今後も、皆さんが喜んでいただけるようなものを作り続けていきたいと思います。 マイセンクリスタルを愛してください。

前回のインタビューで「日本に住みたいくらい日本が好き」とおっしゃるくらいの親日家でいらっしゃいますが、 - お仕事では無く、プライベートで日本に来るとしたら、どこに行きたいですか?
J・W.:ドイツでは、北部の北海、バルト海まで行かないと海がないので、神戸や横浜のような海が近い街でゆっくりしてみたいと思います。 また、貯金をして、定年後に沖縄に行くのが夢です。

- 今回も、日本のファン・ユーザーに何かメッセージをお願いします。
J・W.:実演の際、多くのお客様から技術の素晴らしさを褒めていただいていますが、私はまだまだ勉強中です。
これからも皆様に満足していただけるような作品を作り続けていきたいと思います。


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